花粉粒の「起き上がりこぼし」運動とそのメカニズム
沙巴体育_大发体育娱乐在线¥投注官网大学院農学研究科 和田博史教授、荒木卓哉教授、畠山友翔助教、野並浩名誉教授、ブエノスアイレス大学有機化学科?国家科学技術研究会議(CONICET)ロザ エラ-バルセルス教授らの研究グループは、イネの受粉時に雌しべ上の花粉粒が、おもちゃの『起き上がりこぼし』の様に振り子状に運動することを世界で初めて見出しました。イネ開花に伴う葯の開裂により飛散した花粉粒は、雌しべ付着後ほどなくして起こる花粉粒表面からの溢液の浸出に続いて、前後?左右に振り子運動した後、雌しべに接着、花粉水和を経て、発芽?花粉管を伸長させることが明らかとなりました。本研究では、長年注目されてこなかったイネ科植物に共通する花粉粒の溢液(汗かき)現象を再検討するため、細胞レベルの動態解析と沙巴体育_大发体育娱乐在线¥投注官网のもつ1兆分の1リットルスケールの超微量試料の成分分析法とを組み合わせ、イネ花粉粒の物理的、かつ不可思議な挙動を発見するに至りました。本論文では、振り子運動の起こるメカニズム「オルガネラ再配置による花粉粒の重心移動説」についての新説も提唱しています。本知見は、開花期の高温でお米が稔らなくなる現象(高温不稔)の要因として、水稲の安定生産につながる重要な知見です。本成果は、2025年4月18日(金)に英国Springer Nature Groupが刊行する国際学術誌、Communications Biologyの電子版で公表されました。なお、本研究は、JSPS科研費(22H00369)及び住友財団基礎科学研究助成(210315)の支援を受けて行われました。
論文情報
掲載誌:Communications Biology
DOI番号:10.1038/s42003-025-08018-7
題名:‘Roly-poly toy’ motion during pollen exudation promotes rapid pollen adhesion in rice
著者:和田博史1、2、*、畠山友翔1、2、 ロザ エラ-バルセルス3、 棟田拓己2、野並浩2、 上田光1、4、畠山(山賀)陽子2、 宮下直也2、荒木卓哉1、2
1 沙巴体育_大发体育娱乐在线¥投注官网大学院連合農学研究科?
2 沙巴体育_大发体育娱乐在线¥投注官网大学院農学研究科
3 ブエノスアイレス大学有機化学科?国家科学技術研究会議(CONICET)
4 住化農業資材株式会社
*責任著者
国立大学法人 沙巴体育_大发体育娱乐在线¥投注官网大学院農学研究科 食料生産学専攻
植物工場システム学コース 植物細胞システム計測学
教授 和田 博史(わだ ひろし)